英語のスピーキングを上達させるために必要なこと ー 英文を音読するだけでは限界がある
英語がぺらぺらになりたい。外国人と楽しく会話したい。スピーキングを上達させたいと思っている日本人はたくさんいると思います。
リーディングや文法中心の受験勉強に慣れてしまった日本人にとって、スピーキングはリスニングとともに苦手な分野。かれこれ私も海外で7年以上生活しているとはいえ、スピーキングには最も苦労しています。
7年前にはじめて海外に来た頃よりはスピーキングは上達したとは思いますが、現地で生まれ育った英語を母国語としている人たちにはおよびません。
それでも10回以上の面接を乗り越え、日本人のいない英語環境で、現地の人たちと一緒に医療専門職としてなんとか給料をもらうまでになりました。
そこで今回は、スピーキング上達のために私が実際におこなっている方法をみなさんに紹介します。
1. 視覚と聴覚をフルに活用する
英語は単に受験勉強のための科目ではないのです。日常的に人間が生活するために欠かせないコミュニケーションの手段の一つであり、日本語と同じ言葉なのです。
スピーキングというのは、口から発せられる音です。人間は言葉の音を耳で聞いて、その音を聴覚を通じて脳にインプットし理解します。その音をリピートするときには、同じ音を作るために脳から神経を伝って口や喉の筋肉に指令を出し同じ音を発するという一連の流れが瞬時におこなわれているのです。
英語のスピーキングを上達させるためには、視覚と聴覚をフルに使う必要があります。目で英文を見て、その文字がどのような音を出すのか学び、口や喉の筋肉を使う練習をして、瞬時にその音が出るように繰り返し訓練をするのです。
英語のスピーキング上達に音声付きの教材を選ぶことを強くお勧めします
3. スピーキングの上達と発音の練習
海外で生活するようになってから、自分が発音する英単語に違和感を覚えるようになりました。時々、外国人の友人から聞き返されることがあるのです。例えば、LやR、ThやS、FやH、BやPの入る単語を話す時。LiterallyやCatlary、Boothやgoose、BumpやPump、FootやHookなどです。
日本語の発音はあいうえおを基本とする5種類ですが、英語の場合は母音が26個、子音が24個あります。英語特有の発音のルールを知り、口や舌、喉の使い方を覚えなければなりません。子供の頃から英語を学ぶ場合、音と口の使い方を自然に学習するのでしょう。しかし大人になってからは発音のルールを学ぶことが近道なのです。私が発音を上達させるためにこの本がとても役に立ちました。
ある時、外国人の友人が日本人の話す英語はほとんど聞き取れないと言っていました。例えば 日本人が「This is 〜」と言う時に、「ジス イズ」と聞こえ「ディシズ」と聞こえないそうなのです。日本発音と英語発音で、口と舌の使い方が全く違うからです。
発音のルールを知り口・舌・喉の筋肉の使い方を訓練する
2.英文を音読するだけでは限界がある
みなさんは普段、家族や友達、職場の人たちと話しているときにどのように言葉を発しているのか意識したことはありますか。日本語が母国語であれば、思ったことや感じたことを無意識にそして瞬時に言語に返還して口から言葉を発しています。
例えば、友達から週末は何をしてたのと聞かれたら、恋人とディズニーランドに行ってパレードを見た後に美味しいパスタを食べて、とても楽しかったと答えるかもしれません。その時に、あなたの頭の中では週末の楽しかった記憶がよみがえりますよね。
さて、その記憶はあなたの頭の中で文字として浮かびますか?それとも映像として浮かびますか?私は記憶として映像が写真やビデオを見ているように頭の中に浮かびます。
人間は環境からの情報の90%を視覚的に得ている
視覚で得た情報は記憶の中に映像(イメージ)として刻まれます。人間は視覚で得た情報を脳で話し言葉に返還し、イメージを言葉で説明することができるのです。これは私たちが子供の頃から自然におこなっている作業です。
みなさんはここで、視覚と英語のスピーキングとどう関係するのか疑問に思うかもしれません。しかし、私が7年間の間に英語のスピーキングを上達させるためには視覚情報を英語で直接アウトプットできるようになることが重要だと気がついたのです。
私が日本で英語のスピーキングを勉強しているときに、英文を音読するという作業を長いこと続けていました。それが一番良い方法だと思っていたからです。これは英語の文字がどのような音を発するのか学び、音読することにより自分の発音を聴覚へフィードバックするのでとても効果的な方法です。
しかし、ある程度の段階になるとどんなに英文を音読しても、いざ海外で外国人と会話する時に、その英文が口からすらすらと出て来ないのです。
それには2つの理由が考えられました。
- 音読で得られた英文の記憶は、ただの文字と音声のみであり、頭の中で瞬時に思い起こすことができない。
- 人と会話をするときに頭に思い浮かぶのは文字ではなく映像である。
英文音読にかなりの時間をかけていた私はとてもフラストレーションを感じました。頑張って何度も英文を音読したのに、いざとなるとその英文を思い出すことができず上手く会話ができないのです。そこで私は、いつも頭の中でおこなっている作業に注目するようになったのです。
思い浮かんだ映像を英語で描写する(Describe)という訓練を始めよう
3.見た映像を英語で表現する
視覚で得た情報を頭の中で話し言葉に返還して口から発する。これを瞬時におこなえるように練習することで英語のスピーキングがものすごく上達します。
瞬間英作文という本が話題になりました。私は瞬時に日本語から英語に英訳する力をつけるためにとても役に立つ本だと思います。実際の会話では、相手の外国人が英会話の先生ではない限りあなたの返答を忍耐強く待ってはくれないからです。
私が映像を言葉で表現する作業がとても大事だと気がついたのは、病院で働くようになってからです。私が見た患者さんの状態を英語で相手に説明しなければなりません。顔色や表情はどうか、どのような症状がみられるか、体のどこを痛がっているのか。
その時にいちいち日本語で考えてそれを英訳していては、時間がかかって仕方ありません。目で見た映像や記憶にあるイメージを、英語で直接表現できる能力が実際の生活では必要なのです。
私は、日本の学校の英語の授業で、映像をどのように英語で表現するのか教えればスピーキングがもっと身になるとだろうと思っています。
最近では、子供の英語学習でフラッシュカードという教材を使うことが多くあります。写真や絵、英単語を音声と一緒に視覚と聴覚で覚えていく学習法です。絵を見た瞬間に英単語が口から瞬時に出てくるまで、繰り返し練習するのです。
このフラッシュカード学習法は私が伝えたい英語学習法と共通しています。映像を英語で表現できるようになれば、すらすらと英語を話せるようになります。いちいち英文を音読して、話す時に頭の中で英文を作成しなくて良くなるのです。
映像(イメージ)を英語で表現する練習はスピーキングを上達させる早道であるということです。そしてその映像を英語に瞬時に返還する練習をすることが重要なのです。
ここで私がおすすめする方法は、BBC Learning EnglishのWords in the Newsです。
これは短いニュースの話題が英語の字幕と一緒に映像と音声で学習することができるので、映画やドラマなどに比べてコンパクトにまとまっており毎日続けやすいです。
そしてケンブリッジ英検であるFCEやCAEという試験のスピーキングテストを受けてみると分かりますが、もっと実際的なスピーキングの能力が試され、そのテストのために練習する過程がスピーキング向上につながります。
次回のブログでケンブリッジ英検についても触れたいと思います。
最後にみなさんに試していただきたいのが、旅行や休暇の思い出が写っている写真を一枚用意し、日本語でその写真の状況を説明してみてください。そして次に、写真を見ながら英語で描写してみてください。外国人に週末は何をしたのか聞かれたときに困らないようになりますよ。
この練習方法についても次回ゆっくりと解説したいと思います。
一緒に英語がんばりましょう!